第四章 大冴え(十五)

 床の間がしつらえられていない簡素な古座敷だ。掛物や香合、椿の花の一枝も見当たらない。ただ、庭に面した障子を半間ほど開け放し、冬景色を四角く切り取ってある。林の木々...