スマートフォンによるビデオ会議で、ラジーブ大臣と会談する上定昭仁市長(左)=インド南部・ケララ州
スマートフォンによるビデオ会議で、ラジーブ大臣と会談する上定昭仁市長(左)=インド南部・ケララ州

 【インド南部・ケララ州=政経部・今井菜月】松江市の上定昭仁市長(中海・宍道湖・大山圏域市長会副会長)は26日夜、インド南部のケララ州を訪れ、同州政府と圏域市長会で2015年に交わした経済交流拡大を目指す覚書を、25年以降も継続する方向性を州の担当大臣と確認した。圏域市長会で近く協議し、正式に決定する考えだ。

 上定市長は、山陰インド協会(会長・松尾倫男山陰中央新報社社長)と松江市による経済視察の一環で同州を訪れ、ピー・ラジーブケララ州政府産業法務コイヤ大臣とビデオ会議で協議した。

 覚書は15年12月、企業間の取引や投資をはじめ、教育や文化など幅広い分野の交流促進を目的に締結。理工系人材のインターンシップ(就業体験)受け入れや圏域内5市の企業への就業を実現してきたが、5市長は調印時から全員交代した。覚書の継続は、締結10年を機に新たな連携の仕組みを探り、関係を深化させるのが狙い。

 具体的には、気候変動や防災、食品、DX(デジタルトランスフォーメーション)の4項目に重点を置き、両地域の企業間連携などで実績を上げ、モデルケースをつくる。構想を紹介した上定市長に対し、ラジーブ大臣は「良いアイデアで、ケララ州としても望むところだ」と受け入れた。

 ケララ州の人口は約3400万人。インド全土で最も識字率が高く、ITやサービス産業が強い。海外投資家らの評価が高く、若者のスタートアップも盛んになっている。上定市長は「これからが始まりだ。芽が出る可能性が高い分野に重点を置き、具体的な成果が上がれば圏域にとって大きな力になる」と話した。