島根県の丸山達也知事が、中国電力に対して電気料金の値下げを求めることが16日、分かった。4~9月期として過去最高の黒字となった中電が株主配当を増やす一方、電気料金を値下げしないことを問題視していた。20日に広島市の中電本社を訪れ、中川賢剛社長に要望する。知事が電力会社に直談判するのは異例で、中電の対応が注目される。
中電地域共創本部報道グループの仲田大輔マネジャーは山陰中央新報社の取材に対し、「島根県からは『電気料金に関する知事要請』ということしか聞いておらず、知事が来られるので社長がお受けするとしか申し上げられない」と話した。
丸山知事は8日の定例会見で、中電の2023年4~9月期連結決算で純利益が1230億円となったことに対し、「電気料金をもらっている人たちは大黒字で、バックにいる国民は窮乏にあえいでいる。バランスを欠いている」と苦言を呈した。
今回の決算が燃料費の下落分を電気代に反映するのが数カ月遅れる「期ずれ」により大幅増益となったことを踏まえつつ、同社が電気料金見直しで513億円増益となった点を指摘。23年3月期に初の無配だった株主配当を年間30円とする同社の方針に「お客さんあっての商売で、株主だけにお金を振り向けるのはおかしい。配当を増やすならば、電気料金を下げることも考えてもらわなければならない」と強調した。
また、中電を含む大手電力7社が申請した家庭向け規制料金の値上げを5月に認可した政府に対し、「(電力会社に対して)自力で電気料金を下げられる余地がないのかと問うべきだ。国民生活を何とかしようと思っているのであれば、ぼおっと見ていてはいけない」と関与を求めた。
中電は黒字転換の理由について「期ずれ」の影響で大幅な差益が生まれたと説明。黒字は一過性のものとして、当面は現行の料金水準を維持し、収支を安定化させるとの立場を示している。
大手電力10社の23年4~9月期連結決算は全10社が黒字となった。燃料費下落の影響に加え、電気料金の値上げも寄与し、北海道、東北、中部、北陸、関西、中国、四国、九州の8社が最高益を更新した。(白築昂、新藤正春)











