JR西が存廃の議論を求める芸備線の区間
JR西が存廃の議論を求める芸備線の区間
中国地方で収支公表対象の路線・区間(2023年)
中国地方で収支公表対象の路線・区間(2023年)
JR西が存廃の議論を求める芸備線の区間
中国地方で収支公表対象の路線・区間(2023年)

 JR西日本が28日、利用が低迷するローカル線の2020~22年度平均の収支を公表した。木次線出雲横田-備後落合は、費用に対する収入の割合(収支率)は1・8%となり、19~21年度平均より0・5ポイント改善したものの、管内で下から2番目だった。存廃を議論する再構築協議会の設置を国に要請した芸備線3区間の収支率(0・6%~3・1%)と同水準で、JR西は木次線出雲横田-備後落合も将来的に交通体系の在り方の協議が必要との認識を改めて示した。

 出雲横田-備後落合は、1キロ当たりの1日の平均乗客数(輸送密度、2022年度)が21年度より19人増の54人、100円の収入を得るのに必要な費用を示す営業係数は5695円で、いずれも管内で下から2番目だった。赤字額は2・3億円となった。

 JR西中国統括本部の伊藤秀真広報課長は「(芸備線3区間と同様に)引き続き厳しい状況にあり、大量輸送という鉄道としての特性を発揮できていない」とした上で「最適な地域交通体系をいずれ議論させていただきたい」と述べた。具体的な時期などは示さなかった。

 収支の公表対象は19年度に輸送密度が2千人未満の17路線30区間。本業のもうけを示す営業損益は全てが赤字で、赤字総額は237・8億円だった。

 区間別の最大赤字額は山陰線出雲市-益田の33・1億円で、収支率14・4%、輸送密度860人、営業係数694円だった。

 木次線宍道-出雲横田は赤字額6・2億円、収支率6・5%、輸送密度237人、営業係数1538円となった。

 このほか、山陰両県関係の路線は、山口線益田-津和野が赤字額6・1億円、収支率7・7%、輸送密度417人、営業係数1304円、因美線東津山-智頭が赤字額3・8億円、収支率4・1%、輸送密度130人、営業係数2431円などとなった。
(新藤正春)