第五章 飛ぶ鳥(三十)

 狸の一家に炒り豆の残りを分けてやり、薪(まき)を割り水を汲み、米を研ぎながらも寅蔵は思案する。売り立て会から十日が経つも、未(いま)だ考え続けている。

 ...