テープカットして新棟の開所を祝う島津製作所の山本靖則社長(左から3番目)ら関係者=出雲市斐川町直江、島根島津
テープカットして新棟の開所を祝う島津製作所の山本靖則社長(左から3番目)ら関係者=出雲市斐川町直江、島根島津

 医用機器製造の島根島津(出雲市斐川町直江、藤本滋明社長)の新棟の開所式が18日、現地であり、親会社の島津製作所(京都市)の山本靖則社長ら関係者約50人が祝った。新棟では機器の塗装工程を自動化し、塗装能力を1・5倍に高めた。

 島根島津は1997年設立で、従業員312人。新型コロナウイルス患者の診断で、世界的に活用された回診用エックス線撮影装置などを一貫生産し、医用機器全体で年間約5千台を国内外に出荷。同機器分野では、グループの中核拠点になっている。

 新棟は鉄骨平屋建てで、床面積1500平方メートル。9億7千万円を投じ、今年1月に完成し、機材を入れて今秋に本格稼働した。

 約1千種の部品を一つの生産ラインで塗装する。従来は多くの工程が手動だったが、部品移動や塗装など約7割の工程を自動化した。人工知能(AI)を活用し、部品の向きの間違いを自動検知したり、無線自動識別タグを使って部品ごとに異なる作業を指示したりと、DX(デジタルトランスフォーメーション)を進めた。

 島津製作所グループの医用機器事業では、新棟の稼働などで、25年度時点で22年度比60億円増の820億円の売り上げを計画。島根島津では、生産性の向上により機器の増産体制を整え、今後3年で12人の新規雇用を計画する。

 島根県の丸山達也知事や出雲市の飯塚俊之市長らが出席した開所式で、あいさつした山本社長は「効率の高い生産工場にして、地域により貢献できるようになりたい」と話した。(佐野卓矢)