午前5時。起床して犬の散歩を終えると、自らの農園に直行する。室温、湿度や与える水分量をITで制御する最新鋭の設備を整えたハウス内には、8千本のトマトが植わり、赤々と実る果実の様子を真剣にチェックする。

 

勝部政則さん


 医療機器メーカーの関連会社から転身し、58歳で出雲市に帰郷。実家の農地を活用し、トマト栽培を始めた。父親(95)も還暦で慣れ親しんだ稲作から経験がない梨農家に転身。「60なんて、まだこれから」と励まされた。

 農家に生まれたが、青年時代は「農業が好きなわけではなかった」という。高校、大学は機械科で学んだ後、医療機器メーカーに就職した。...