チャイコフスキーの名曲とともに踊り継がれる不朽の古典バレエ「眠れる森の美女」が、相次いで新制作された。Kバレエトウキョウ芸術監督の熊川哲也は、原典を大胆に脚色した異色作を発表。東京バレエ団芸術監督の斎藤友佳理は、典雅な世界を作り出した。2023年10月26日、11月11日、それぞれ東京文化会館で見た。

 Kバレエトウキョウの新制作でまず驚かされるのは、主人公のオーロラが100年の眠りにつかないこと。オーロラの誕生祝いに招かれなかった隣国の君主カラボスが激怒し、16歳になったオーロラに求婚するデジレ王子に呪いをかけて彼女の命を奪わせる。サスペンスドラマばりの展開なのだ。

 伝統的な演出同様、オーロラは王子のキスで復活する。ただし、...