がんの宣告や治療に伴う体と心の痛みを和らげるのが緩和ケア。緩和ケアと聞くと「終末期」というイメージが根強いが、今はがんと診断された時に始まる。痛みや苦しみをコントロールし、自分らしく生きられるように支える。ケアに力を入れる病院の現場やがん患者のケースを基に、病院でのケアの現状を探る。
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松江市黒田町でバレエを教える若佐久美子さん(56)は2005年夏、「顆(か)粒(りゅう)膜細胞腫」という卵巣がんであることが分かった。89年に「若佐久美子バレエスクール」を開設し、生徒への指導に熱を入れる中で判明し、一人息子は当時13歳だった。
顆粒膜細胞腫は緩やかに進行し、症例が少なく治療法が確立していなかった。開腹手術を受け、傷跡は膨らみ、おなかには金属製のメッシュを入れられた。うつ病を発症しバレエから離れた。レッスンは代わりの指導者に頼んだが、様子が気になり、現場に戻った。
その後も再発を繰り返し開腹手術や放射線治療を受けた。腫瘍が大きくならず...
がんになっても 第5部・緩和ケアのいま(上) バレエ指導を続け、子どもたちの夢支えたい 若佐久美子さん
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