第六章 来去来(八)

 襖が引かれて現れたのは小紫だ。頭には白(しら)拍(びょう)子(し)のごとき烏(え)帽(ぼ)子(し)、深紫の長(なが)袴(ばかま)を両手で摘んでずずいと歩いてくる...