しまね海洋館アクアス(浜田市・江津市)が23日、飼育する雌のシロイルカ2頭が妊娠したと発表した。出産時期はそれぞれ6~8月、7~9月を予定。昨年6月にパフォーマンスで人気だった雄のケーリャが死んだだけに、関係者は赤ちゃん誕生に期待した。
雌2頭の名前はアンナとアーリャで、ともに推定年齢25~27歳。アクアスによると、いずれも昨年4~5月に雄のランゲルとの交尾が確認され、妊娠の兆候を示すホルモン値が上昇。その後のエコー検査でアンナが9月5日、アーリャが10月4日に妊娠が確認された。いずれも現在、健康体で母体内の子はそれぞれ大きさ約80センチと、60センチに成長しているという。
海外の文献などによると、シロイルカの2歳までの生存率は初産で30%、経産で50%といわれ、死産や産まれてすぐに死ぬリスクが高いという。アクアスでも今回が3度目の妊娠のアーリャは2009年に雄、14年に雌を産み、いずれも成長したが、2度目の妊娠のアンナは、09年に産んだ子イルカが10日後に死んだ。
現在2頭は別館のシロイルカプールで泳ぎ、出産前後は観覧を休止する。出産の兆候がみられる約1週間前から飼育員が24時間態勢で観察する予定。湊直樹館長は、ケーリャの死と重ね「未来への希望や命の尊さを実感する。無事の出産を願う」と話した。
国内の水族館でシロイルカの出産報告は13例あり、子イルカがその後も生存しているのは、アーリャの2頭を含め7頭という。(宮廻裕樹)