▽経験が過去の見方変える

 歴史の定説が見直されている。歴史学者の磯田道史さんは、幾つかの理由を挙げた上で「分かりやすいのは新史料の発見や遺跡の発掘成果です」と話す。

 例えば、「縄文時代に農耕はなかった」と考えられてきたが、植物栽培の痕跡が地中の花粉分析などから判明した。発掘された石器の形が「農耕用」と解釈され、教科書も「縄文の栽培」に言及するようになった。

 もう一つの大きな理由に「見方の変化」を挙げる。「個人だと病気や結婚、子どもの誕生の前後で世の中に対する考え方が変わります。歴史でも同じことが言えます」

 2020年以降の新型コロナウイルス禍の...