第六章 来去来(四十九)

 帰路を急ぐ気持ちは曲げられない。舟に乗り合わせた連中の話に耳を傾けるうち、寅蔵はまたも驚いた。

「大坂、大(おお)冴(ざ)えになってるんだ...