終わり良ければすべて良し。そんな人生観を持っていたが、現実は甘くなく、人生は簡単には終(しま)えないようだ。価値観や生活様式が多様化した現代で、家父長制の象徴ともいえる墓をめぐって、3世代にわたる登場人物たちがそれぞれの立場から物語を紡ぐ。

 松尾五月は東京暮らしの61歳。新潟県の義母が亡くなったことで墓騒動が幕を開ける。死後の世界について、五月は...