「不器用な者同士、力を合わせていこう」。石田雅男(87)は、妻の懐子(74)にひそかに誓った。外での生活を諦め、岡山県瀬戸内市の国立ハンセン病療養所「長島愛生園」に戻ってから出会った2人。25年前、中年を過ぎてからの遅い結婚だったが、迷いはなかった。以来、二人三脚で暮らしてきた。

10歳で家族と離別

 1936年、兵庫県明石市に生まれた雅男は、父の転勤で幼い頃から名古屋や大阪など各地を転々とした。半年足らずで引っ越す生活。「雅男に友達をつく...