【南部】鳥取県南部町出身の孔版画家・板(いた)祐生(1889~1956年)が集めた広告を飾る企画展が、同町下中谷の「祐生出会いの館」で開かれている。浮世絵風に男女の姿を華麗に描いたチラシなど、明治から昭和の多彩な約300点を飾っている。5月27日まで。
コレクターでもあった板は、同時代に存在する広告を後世に残そうと数多くの品を収集した。
南部町内の呉服や雑貨を扱う商店が明治期に製作したチラシ「引札(ひきふだ)」には、雪化粧した風景を背に着物姿の男女が見えを切る姿が描かれている。浮世絵風の鮮やかなタッチが印象深い。
大阪府のしょうゆ店が大正期に作ったとみられるセール広告は、チラシ紙自体がしょうゆだるの形をしており、ユーモラスな雰囲気が目を引く。
中尾慶治郎副館長は「当時の広告の多くは家でじっくり楽しみ、保存したくなるよう工夫されていたのが分かる」と話した。
午前9時~午後5時。火曜休館。一般300円、大学・高校生200円、中学生以下無料。(佐貫公哉)