【奥出雲】松江藩の鉄師を務めた櫻井家の歴史と文化を紹介する、島根県奥出雲町上阿井の可部屋集成館で、夏季特別展が開かれている。水辺の涼やかな風景が描かれたふすまや、大正から昭和にかけて使われた夏用の着物、ガラス食器など約100点が展示されている。9月中旬まで。
着物は、12代当主・泰吉の妻が所有。鮮やかな赤紫色に白で唐草文様が入った普段着のほか、飛行機やトンボがデザインされた浴衣が並び、当時の櫻井家の生活を伝える。
ふすま絵も目を引く。櫻井家に滞在し、多くの作品を残した南画家・田能村直入(1814~1907年)による「楼閣山水」は、水辺に立つ楼閣と浮かぶ船を描く。江戸時代の母里藩のお抱え絵師だった長塩雪山(1774~1833年)による「群馬」は、水中に遊び、柳の木の下に群れる馬の様子が涼を醸し出す。月曜日休館。
(狩野樹理)