松江市では対象地域の全住民に緊急避難を呼び掛ける「避難指示」や災害警戒レベルで最も高い「緊急安全確保」が全域に発令された。ただ、避難所に向かったのは300人余り。自宅の上階に移動したり、安全な親戚宅に身を寄せたりする市民がいたとみられるが、通常の勤務をこなした市民も多く、対応はさまざまだった。

 5月に改正災害対策基本法が施行され、災害時に市区町村が発令していた避難勧告を廃止し、避難指示に一本化。住民に避難を促す情報を簡素化して逃げ遅れを減らす狙いがある。防災情報を5段階に分類した「大雨・洪水警戒レベル」も改定され、危険度が最も高いレベル5は「災害発生情報」から「緊急安全確保」に変更となった。

 松江市はレベル4、レベル5を午前7時までに発令。土砂災害の危険が高まり、市内の意宇川が氾濫危険水位を超えたことを判断基準とした。土石流の発生後に緊急安全確保を発令した静岡県熱海市での災害を踏まえ、上定昭仁市長は「早期に対応した」と述べた。

 市防災安全課の担当者は避難所に行くことだけでなく、上階に移動する垂直避難などの重要性を強調。「市内の全てが被災するわけではない。ハザードマップなどを確認し、独自に安全を確保してほしい」と話した。