旧優生保護法(1948~96年)下で不妊手術を強いられた障害者らが起こした国家賠償請求訴訟で、最高裁大法廷は7月3日に判決を言い渡す。初提訴から6年半。被害者の高齢化が進み、その親世代の多くは世を去ったとみられる。偏見や差別による生きづらさ、語られなかった心の痛み、手術への「同意」…。被害者の母親たちの物語を描く。

■最高裁 来月3日判決

 川野よしえ=90代、宮城県、仮名=は50年ほど前、知的障害のある娘の不妊手術に保護者として「同意」した。娘が入所する知的障害児施設の職員に勧められた。「娘はここで生きていかなきゃなんねえから」。自身の亡き後のことを思うと、反対はできなかった。

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