山陰両県で7日から続いた記録的な大雨で、スイカや大豆など山陰両県の農作物が冠水被害を受けた。出荷目前や入植直後のタイミングだった作物も多く、生産者は肩を落とした。
旬を迎えた鳥取県北栄町特産「大栄西瓜(すいか)」。60アールで栽培し、4500玉を出荷予定だった中原直樹さん(46)のスイカは、同町大谷のため池が決壊したため、下流部の畑で300玉が流されたり、水に漬かったりして売れなくなった。
収穫は最終盤で被害は1割程度の見込みだが、濁流はトンネルと呼ばれる縦42メートル、横3・5メートルの小型ビニールテント4張りと肥沃(ひよく)な表土もさらった。中原さんは「最初に畑を見た時は夢であってほしいと思った。来年の作付けは一からだ」とため息をついた。
大栄西瓜の21年産は生産者214人が165・6ヘクタールで栽培。5月28日から全国に出荷し販売額21億円を目指している。
JA鳥取中央(倉吉市越殿町)は、周辺市町を含めたスイカの販売目標を33億8千万円に設定。栗原隆政組合長(68)は「市場価格は前年の105%で推移し、好調だった。これからも営農できるよう生産者を支援しなければいけない」と話した。
島根県内でも水田や耕作地への大雨被害が発生。JAしまね営農指導企画課によると、これまでの被害報告は出雲、斐川地区が多い。水稲のほか、大豆やハトムギなどの転作作物が冠水した。
出雲市斐川町上直江の農事組合法人「はらファーム」(22戸)では7月1日に6・5ヘクタールで大豆の種をまいたばかり。排水対策として事前に側溝の泥を除いていたが、排水能力を超える雨量が一気に押し寄せ水没した。2021年産は10アール当たり収量で前年比2割増の300キロを目指しているが、青木治美組合長(67)は「水をたっぷり吸うと芽が出なくなる可能性がある。なんとか出てほしいが…」と気をもんだ。 (取材班)













