業務改善命令を受け、県庁を後にするJFしまねの福本匡弥常務理事=松江市殿町、県庁
業務改善命令を受け、県庁を後にするJFしまねの福本匡弥常務理事=松江市殿町、県庁

 JFしまねの役員改選を巡り島根県が9日、水産業協同組合法に基づき業務改善命令を出した。6月の役員推薦会議で決まった岸宏会長(77)を含まない新役員案を公告し、8月10日までに総代会を開いて提案することを求めた。新役員案を無効と主張しているJFしまねは、命令の取り消しを求めた訴訟も視野に、対応を検討するとみられる。 (曽田元気)

 新役員案について、JFは一部の役員候補の承諾書が事前に書面で提出されていなかったため、無効と主張。役員推薦会議が始まる前に、出席者全員に了承されたとしている。一方、県は案を提示した推薦委員が後日承諾書を提出したことで有効と認めており、真っ向から対立している。

 丸山達也知事は9日の定例会見で、書面での承諾書が必要ならば、事前に準備させる対応が必要だったと指摘。当日、役員推薦会議が始まる段階になって書面を求めたのは「できないことをやれと言っている」と指摘した。

 県庁で本田勝己農林水産部長から命令書を渡されたJFしまねの福本匡弥常務理事は「今後検討し、対応する」と述べた。

 不服がある場合、3カ月以内に農林水産相や金融庁長官に審査請求ができるほか、6カ月以内に県を被告として処分取り消しの訴えを提起できる。執行部の中枢に現行の新役員案を総代会に諮る考えはなく、訴訟も含めて善後策を練るとみられる。

 JFしまねには3月、組織の内部管理体制をただす改善命令も出ており、同時に二つの命令が出ている異例の事態になっている。