ゲートを倒し斐伊川の水を神戸川に向けて流す斐伊川放水路の分流堰=出雲市大津町
ゲートを倒し斐伊川の水を神戸川に向けて流す斐伊川放水路の分流堰=出雲市大津町
ゲートを倒し斐伊川の水を神戸川に向けて流す斐伊川放水路の分流堰=出雲市大津町

 斐伊川上流での大雨による水位上昇を受けて国土交通省出雲河川事務所が12日午後、斐伊川から神戸川へ水を流す放水路分流堰(せき)(出雲市大津町)のゲートを操作し、分流した。下流の宍道湖、大橋川は共に水位上昇のピークを過ぎ、大幅に上がることはないとみられる。

 高さ約3・2メートルの分流堰ゲートを水位が上回り、正午に分流を開始。さらに分流堰地点の流量が、操作基準値の毎秒500トンを超えたため、ゲートを倒す操作を行った。

 事務所によると、午後5時で放水路には毎秒690トンを分流し、斐伊川の流量は毎秒約1100トンに緩和された。

 午後5時50分現在の水位は、宍道湖(東観測所)が1・06メートル、大橋川(松江水位観測所)は、避難判断水位の1・40メートルを下回る1・01メートル。大山璃久計画課長は「雨に伴う水位上昇のピークは過ぎたが中海、日本海の潮位の影響で水位は多少上下する」と話した。

 7日の大雨でも、斐伊川の水位がゲートの高さを超えたため分流したが、ゲート操作はしていなかった。

 2013年6月の斐伊川放水路の運用開始以降、分流は14回目、ゲート操作は20年7月14日以来、11回目となる。

 斐伊川放水路は、国の斐伊川・神戸川治水事業で上流の尾原、志津見ダム、下流の大橋川改修と並ぶ3点セットの一つ。斐伊川の増水時に流量の一部を神戸川に流す役割がある。 (松本直也)