11日の晴天がうそのように、またも猛烈な雨が山陰両県を襲った。家屋の浸水や損壊被害に見舞われた住民は「まだ続くのか」と途方に暮れた。5段階の警戒レベルで最も高い「緊急安全確保」が発令された雲南市では、一部集落で行き来が困難になり、事実上の孤立状態に陥るなど再び豪雨の猛威が牙をむいた。
雲南市三刀屋町古城の建設業伊東貞延さん(68)は、自宅裏山が崩れるのを警戒し、体育館に避難した。「雲南に住んでいて、これほどの被害は見たことがない。川の増水に崖崩れなど、これからどんな災害が起きるか心配だ」と不安を募らせた。
古城地区の尾崎上集落では一本道の市道が土砂崩れでふさがれ、4世帯が徒歩でも行き来の困難な状況になった。三刀屋小学校(三刀屋町給下)に通う息子2人を迎えに来た自営業古瀬志さん(33)は一本道を何とか通り抜け、片道約4キロの学校に着いたが、市道は再び崩落の危険性があり、12日は学校で一夜を明かすことにした。
集落周辺は民家の裏山や田畑の斜面があちこちで崩落。「ひとまず住民は皆無事だと聞いている。早く復旧できるといいが、被害は大きい」と気をもんだ。
警戒レベル4の「避難指示」が発令され、土砂崩れが相次いだ松江市美保関町内では、マリンスポーツのインストラクターをしている石井裕晃さん(52)=美保関町北浦=が肝を冷やした。
午前8時、土砂崩れで流れ落ちた木の幹1本が店舗1階の壁を突き破ったからだ。周辺は土砂崩れ警戒地域のため気を張っていたが、ここまでの被害は初めて。「先週の雨で危ないと思っていたが、今日もこんなに強いとは」と想定外の豪雨にため息を漏らした。














