土砂崩れや浸水被害をもたらした12日の大雨は海水浴場にも爪痕を残した。特に被害が大きい松江市美保関町の北浦海水浴場は、砂浜が濁流に削られ、浜への進入路も土砂崩れで通行不能に。夏本番の出ばなをくじかれた。
美保関町は、市内最多の35カ所で道路やのり面の被害に見舞われた。中でも、のり面の崩落で全面通行止めとなった県道に近く、町唯一の海水浴場・北浦海水浴場は、山から砂浜に注ぐ2本の小川が濁流と化し、砂が沖に流され、大量の土石が残った。
近隣で長く民宿を営んできた井上定治さん(59)は「ここにも被害が出ると思わなかった」と吐露した。普段なら両手を広げた程度に収まる小川が幅10メートル以上に拡大。「初めての状態。元通りになるのは時間がかかるだろう」と口にした。
地元民宿などで組織し、海水浴場を管理する北浦観光協会(中村敏之会長)は週2日の清掃活動や遊泳禁止ロープの設置など受け入れ準備を進めたばかり。
海水浴客の誘導路も土砂に埋まって復旧が見通せず、中村会長は「経済的にはカウンターパンチを食らった格好。なんとか復旧してほしい」と願った。
(多賀芳文)













