4日から12日まで山陰両県を襲った大雨は、島根県内で過去の大規模水害に近い記録的な降水量となった。広範囲で被害を受けた雲南市では14日午後3時時点で、11地区20世帯の60人が孤立状態となっている。
島根県東部から鳥取県中部にかけて積乱雲が連続発生する「線状降水帯」が形成された今回の豪雨は、大橋川が氾濫するなど松江市中心部が浸水し、出雲市などで死者・行方不明者が出た2006年7月水害と大差ない降水量だった。松江市では06年は10日間で495・0ミリ降ったのに対し、今回は9日間で460・5ミリを記録した。
松江市内を流れる大橋川の水位は、06年は氾濫危険水位(1・40メートル)を上回る1・96メートルだったが、今回は最大で1・08メートル(8日昼)にとどまった。国土交通省出雲河川事務所は、13年に運用を開始した斐伊川放水路(出雲市)を使って宍道湖に注ぐ斐伊川の水を神戸川へ分流したことで、宍道湖とつながる大橋川の水位を下げる効果があったとみて、今後検証する。
島根県や雲南市のまとめによると14日午後3時時点で、住宅の床上浸水が57棟、床下浸水が296棟。雲南市内では12人が自主避難し、断水が836世帯に及んだ。松江、出雲両市で防波堤や漁船が破損し、水産関連で4050万円の被害が出た。 (曽田元気)













