15日午前5時半ごろ、浜田市殿町の妙智寺付近で、散歩中の女性がクマ1頭に出くわした。クマは山へ逃げ、女性にけがはなかった。現場周辺は市中心部ながら山があり、2017年6月にも同じ寺でクマが目撃された。山間部から移動してきたとみられ、市や浜田署が注意を呼び掛ける。
市農林振興課によると、犬を連れて散歩していた女性が寺の階段横の草むらにクマ1頭(体長約1メートル)が背を向けて、たたずんでいるのを見つけた。犬がほえると、クマは階段を上って寺の裏山へ逃げたという。
現場は市役所から北約500メートルの住宅地。近くの住民によると、朝には散歩する人や通勤の車が多く行き交う。付近には松原小学校(浅井町)の児童が登下校で使う道もあり、市教育委員会がクマ鈴の着用を呼び掛け、学校職員が下校時の見回りをして警戒した。
寺の近くに住む無職、竹原久人さん(70)は「クマの出没を聞き、驚いた。通行する人も多く、4年前にも出たので気を付けたい」と不安そうだった。
市と島根県は捕獲用おり1基を寺の付近に設置し、現地調査した。付近の山は狭く、北側を除いて住宅などに囲まれているため、山間部にすむクマが移動してきた可能性が高く目撃後、他の場所へ行ったことも考えられるという。
県中山間地域研究センター(島根県飯南町上来島)によると、夏を迎えクマの餌となる新芽が固くなり、餌を探し回るほか、人に警戒心が低い若いクマが動き回るなどして人里に出ることもあるという。
4月以降の目撃件数は県内、市内ともに例年に比べ低調。市内では4月から今月15日までで79件。20年4~6月の96件、19年同時期の82件より少ない。特に今年5月は例年30~40件ほどの目撃が11件と激減。6月以降、例年並みに戻った。県鳥獣対策室によると、目撃件数の減少の原因は不明という。 (陶山貴史)














