政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長は16日、記者会見を開き、東京などで感染が急拡大しているとして、夏休み中の都道府県境を越えた移動を控えるよう呼び掛ける談話を発表した。東京の新規感染者数が3日連続で千人を超えたことに触れて「感染拡大のルートに乗っている。新型コロナとの闘いで、まさにヤマ場と考えている」と危機感を表明した。
夏休みやお盆、東京五輪などが重なる7~8月を特別な時期と位置付けて「とにかく感染を抑える時期だ」と訴えた。
また、国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長が、感染状況が改善すれば観客ありでの五輪開催を要望していることについて記者から問われ「われわれの普通の判断では(可能性は)ない」と答えた。
尾身氏は会見で、感染力が強いインドに由来する変異株(デルタ株)の影響などで50代を中心に人工呼吸器を付ける患者が増えていると指摘。「高齢者の重症化が少なくなっても、(若い世代の)感染者が多くなれば重症者は増える」などと、病床数不足に注意を促した。
その上で、普段会わない人や大人数、長時間での飲食は控えるよう要望。五輪の応援は家族などと家で行い、広場や路上、飲食店での大人数での応援は控えるよう求めた。帰省先の高齢者がワクチンを2回接種している場合でも、帰省の2週間程度前から感染予防策を心掛けてほしいとした。
尾身氏は、ワクチン接種が進んだ後で「なるべく普通の生活に戻すことをみんなで考えたい」と述べ、緊急事態宣言の終了までに分科会として今後の展望をまとめる考えも示した。











