俳句 田口  耕選

夏つばめ湖水の光掬ひけり    出 雲 行長 好友

  【評】燕(つばめ)が水を掬(すく)うように、急降下して急上昇する ことがあります。水面近くの虫を捕らえているのでし ょう。それを夏の光を掬い取っていると。新鮮です。

やはらかき闇となりゆく初蛍   松 江 下村やす子

  【評】冬の夜陰は肌に寒気が刺さり堅く感じられ、 夏の夜陰は肌に優しく柔らかく感じます。その上、初蛍 が舞っていると心まで和らいで。みずみずしい句です。

行く春や友の句集を読み返す   ...