小川団吉さんが家族に宛てた手紙と写真=浜田市金城町今福、今福郵便局
小川団吉さんが家族に宛てた手紙と写真=浜田市金城町今福、今福郵便局
小川団吉さん
小川団吉さん
小川団吉さんが家族に宛てた手紙と写真=浜田市金城町今福、今福郵便局
小川団吉さん

 浜田市出身の旧陸軍将校が、昭和初期の海外視察の様子を家族に伝えた手紙が金城町今福の今福郵便局ロビーで26日から5日間、展示される。郵便局長が遺族の遠戚だったことがきっかけで、いつの時代にもある手紙のぬくもりを伝える企画だ。 (宮廻裕樹)

 手紙を書いたのは陸軍少将だった小川団吉さん(1894~1945年)。浜田中(現・浜田高)から陸軍士官学校を経て、1937年に東南アジアや欧州各地へ軍事視察で出かけた。

 現地から、東京に住んでいた家族へ宛てた手紙が多数残っており、このうち8通を展示する。

 手紙では、香港で見た夜景に「島全体がイルミネーションです」と驚きをつづったり、「勉強ができますかしら かあさんによろしく」と家族へのいたわりを書いたりした。パリのエッフェル塔など、視察先で手に入れた写真も添えられている。

 その後、太平洋戦争が開戦し、少将となった小川さんは45年に中国で戦病死した。手紙からは、家族の絆だけでなく、日本全体が戦争に巻き込まれる前の高揚感も感じることができる。

 手紙を所有している孫の村上好古(よしふる)さん(67)=東京都=は「娘たちに様子を伝えることで、世界の大きさを見せたかったのかもしれない」と察する。

 遠戚関係にある村上さんの勧めで、展示会を企画した今福郵便局の小川慎二郵便局長は「どの時代にもある手紙のぬくもりを感じ取ってほしい」と願う。