中小企業庁は19日、2021年度の最低賃金改定で時給を過去最大幅の28円引き上げる目安がまとまったことを受け、国の事業を受注する中小事業者に賃金上昇分も含めて代金を支払うよう、13府省庁に要請した。中小事業者との契約の基本方針に盛り込み、8月中の閣議決定を目指す。

 具体的には、各府省庁が中小事業者に賃金上昇への対応の可否を確認し、契約額を適宜、見直す。大幅な最低賃金の引き上げを前に、受注業者が人件費を代金に転嫁できずに経営が圧迫される事態を防ぐのが狙い。中企庁によると、最低賃金で府省庁に契約の確認を求めるのは初めて。

 対象事業は、新たな最低賃金が適用される見通しの10月の前に各府省庁が契約し、10月以降も継続するもの。窓口での受け付けや清掃といった業務の他、国土交通省では工事関連も想定する。

 各府省庁が中企庁に契約確認対象の事業者を報告し、契約額などを見直す必要があれば対応してもらう。その後、中企庁は事業者へ調査票を送り、各府省庁から確認があったかどうかを聞き取ることで、中小事業者の保護を徹底する方針だ。