自ら栽培したコットンを使ったポロシャツを手にする藤原潤さん=松江市北陵町、テクノアークしまね
自ら栽培したコットンを使ったポロシャツを手にする藤原潤さん=松江市北陵町、テクノアークしまね

 松江市の若手起業家が、希少な国産コットンにほれ込み、自ら栽培して上級品だけよりすぐり、伝統的な技法を残す業者に頼んで編み上げるという超こだわりの衣服作りに励んでいる。手間暇が価格に反映され、一見ありふれたTシャツが約1万5千円。「違いが分かる人にも、知らない人にも着てほしい」と説く。

 (片山皓平) 藤原潤さん(34)で、2019年2月に綿製品販売業・加藤完一商店を起こし、松江市北陵町のテクノアークしまね内の貸しオフィスに事務所を置く。15年に同市にUターンし、雑貨を扱う商社勤務を経て独立開業を描く中で、国産コットンの希少性を知った。

 国内で衣服に使うコットンの99%以上が輸入物で、国産コットンが希少な点に挑戦の意欲をかき立てられた。「国産というだけではなく、もう一歩先の品質を目指そう」と付加価値向上を考え、ほれ込んだ英国製ポロシャツにも使われる上級品「超長綿」に注目。特に繊維が長い綿で、光沢が良く、しなやかで柔らかい着心地に仕上がるという。

 雲南市大東町内の耕作放棄地約5千平方メートルを借り、農薬や化学肥料を使わずに栽培。20年産は綿40キロを収穫し、超長綿20キロをより分けた。編み上げは、希少な旧式の「吊り編み機」を使う和歌山市の業者に依頼。大量生産向きで高速稼働の「丸編み機」と比べ、糸にストレスを掛けずにゆっくりと編み、ふっくらとした風合いになるという。

 縫製なども外注し、6月ごろには県産コットン100%のTシャツが出来上がる予定。80枚限定で、1万5千円前後で価格設定し、自社のインターネットサイトと松江市内のテーラーで売り出す。

 20年にもそれぞれ19年産の綿を10%混ぜたポロシャツ(2万円)と靴下(2千円)を商品化した。藤原さんは「価格は高いが、家でリラックスするときにも、外出時にも着ることができる服。コットンの良さを楽しんでほしい」と話す。