【ワシントン共同】米国の景気動向を判定する全米経済研究所(NBER)は19日、新型コロナウイルスの感染拡大による米景気後退が2020年3~4月の2カ月間で終了したと発表した。景気後退期としては記録をさかのぼれる1854年以降で過去最短。不況の期間は短かったが、「かつてない落ち込みだった」との見解を示した。

 NBERは米国の景気拡大や後退について、経済指標を用いて正式判定する機関。昨年4月を「景気の谷」と判断し、昨年5月以降、経済活動は正常化していないものの雇用と生産の指標がともに回復したと分析した。

 景気後退は通常、経済活動が数カ月以上落ち込んだ状態を指す。NBERは今回、新型コロナの流行と感染予防のための経済活動の急停止で「かつての不況とは異なる特徴」の景気後退だったと結論付けた。その後に景気が落ち込んでも、昨年3月からの継続ではなく「新たな景気後退」とみなすべきと指摘した。

 米国ではリーマン・ショック後の2009年6月に景気拡大が始まり、昨年2月まで史上最長の10年8カ月続いた。

 失業率も3%台に低下したが、感染急拡大に伴い、昨年3月からの2カ月間で約2200万人が失業。政府は昨年3月に成立した2兆2千億ドル(約240兆円)規模の巨額対策をはじめ、断続的な財政出動を行った。

 直近の景気後退期は、金融危機の発端となったサブプライム住宅ローン問題を受けて07年12月に始まり、1年半続いた。