部門別の二酸化炭素(CO2)排出量と削減率
部門別の二酸化炭素(CO2)排出量と削減率

 菅義偉首相が表明した2030年度の温室効果ガス排出量を13年度比で46%削減する目標の実現に向け、企業や自治体、家庭が取り組む具体策をまとめた政府の新たな地球温暖化対策計画の原案が25日、関係者への取材で判明した。30年度の排出量を家庭部門で66%、業務部門で50%、産業部門で37%、13年度比でそれぞれ減らす。家庭に大幅な削減を求める一方で、排出が多い産業部門の削減率は小さくなっており、産業界への配慮をにじませる内容となった。

 同計画は、政府が地球温暖化対策推進法に基づいて策定し、温暖化に関する総合計画と位置付けられる。今回の改定は2016年以来5年ぶり。首相が昨年10月表明した50年の温室ガス排出実質ゼロ目標や、30年度の46%削減目標を明記した。

 原案によると、エネルギー由来の二酸化炭素(CO2)排出量は、日本の温室ガス排出量の8割以上を占め、産業、業務、家庭などの5部門に分かれる。30年度は6億8千万トンを目指し、13年度実績の12億3500万トンに比べて45%削減する。

 具体的には、家庭部門は住宅の省エネ促進や屋根に置く太陽光発電設備拡大などによって66%削減するとし、現行計画の39%減から踏み込んだ。業務部門は建物の省エネなどで50%減(現行は40%減)、産業部門は産業界の自主的取り組みなどで37%減(同7%減)とした。

 計画案は26日、環境省と経済産業省の審議会の合同部会で示す。政府は一般からの意見公募を経た上で閣議決定し、10月末から英国で開かれる国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)までに、国連に提出する方針。