「群鶏図」に見入る来場者=松江市殿町、島根県民会館
「群鶏図」に見入る来場者=松江市殿町、島根県民会館

 【松江】江戸時代の日本画家、伊藤若(じゃく)冲(ちゅう)(1716~1800年)の代表作「動植綵(さい)絵(え)」を西陣織で再現した作品展が29日、松江市殿町の島根県民会館で始まった。掛け軸や額装作品など60点を8月1日まで展示する。入場無料。

 若冲が描いた動植綵絵30点それぞれを、20人の西陣織職人が分業で半年かけて織り上げ、掛け軸に仕立てた。このうち「群(ぐん)鶏(けい)図(ず)」(縦70センチ、横35センチ)は、13羽の鶏を髪の毛の半分の細さの絹糸13~15色を使って制作。縦糸2700本、横糸1万5千本を使って交差させた緻密な点により、羽の細やかな質感を色彩豊かに表現した。

 来場者は会場に備えられたルーペで緻密な織の立体美を体感した。松江市古志原7丁目の三島欣(きん)三(ぞう)さん(78)は「糸が細かく繊細で素晴らしかった」と話した。

 高級帯として知られる西陣織の魅力を広め、伝統技術を継承しようと京都市の「西陣美術織若冲全国巡回展実行委員会」が開いた。オリジナル作品も展示する。

 午前10時~午後5時(最終日は午後4時まで)。

      (金津理子)