「誓いの鐘」を除幕する中国電力の山下隆社長(右から3人目)ら関係者=2011年6月、松江市鹿島町佐陀本郷の島根原子力館
「誓いの鐘」を除幕する中国電力の山下隆社長(右から3人目)ら関係者=2011年6月、松江市鹿島町佐陀本郷の島根原子力館

 「率先垂範」とは、人々に先立って自ら模範になることを指す。人の嫌がるような仕事でも真っ先に取り組んでいく姿勢がなければ、部下や周囲の人々の協力は得られない。

 中国電力の社長と会長、中国経済連合会の会長を務め、9月に81歳で亡くなった山下隆さんは、この四字熟語を信条にしていたそうだ。先月、広島市であったお別れの会に参列すると、生前の写真とともに「率先垂範」の書が飾られていた。

 思い当たるエピソードがある。中電の社長時代、新聞社の記者向け勉強会の講師を依頼すると二つ返事で引き受け、広島から松江にやって来てくれた。しかも2度も。ただともに開催前に中電の不祥事が発覚。冒頭のあいさつは謝罪から始まった。終了後は「どうも(勉強会とは)相性が悪い」と苦笑いしつつ「誘ってくれた君に恥をかかせてしまった」と頭を下げた。そんな人柄だった。

 社長在任時には島根原発1、2号機で多数の点検漏れが発覚。その反省と教訓を風化させないため2011年6月、原発を見下ろす高台にある島根原子力館にモニュメント「誓いの鐘」を設置。「地元の安心と信頼なくして発電所運営はできない。今まで以上に再発防止策を実施する」と力を込めた。

 島根原発2号機が再稼働して1年が過ぎた。山下さんの遺志を引き継ぎ、全ての関係者が率先垂範する職場風土でなければ、安心と信頼は醸成できないだろう。(健)