記念碑に刻まれた故竹下登元首相の言葉=雲南市掛合町掛合
記念碑に刻まれた故竹下登元首相の言葉=雲南市掛合町掛合

 以前取材した古老に「自分」とは「自然」の「分身」だと諭された。人も地球を構成するひとかけらで自分の状態や行動が周囲の空気や環境に作用するのだと納得。以来なるべく負の感情を持たず、環境負荷の低いものを摂取するよう心がけるが、まあ難しい。

 環境への意識は、気候変動への危機感からか若い人ほど高い結果が各種調査で出ている。その「自然志向」は死後にも及んでいるようだ。遺体を火葬せず、微生物の働きで数週間かけて分解し「土」にする葬法「ヒューマンコンポスティング」が欧米で注目されているという。

 火葬は二酸化炭素を多く排出し地球への負荷が大きい。日本でも法的な課題があるものの「堆肥葬」や「有機還元葬」と呼んで実現を模索する動きがあり「よい土になるため食べ物に気を付けたい」という若者もいるそうだ。

 こうした葬法への意識を後押しするのが「家」に縛られない風潮だ。近年は家系を重視した墓ではなく永代供養や樹木葬、散骨といった多様化が進む。堆肥葬は、自分が最終的に帰属するのは自然や地球であるという概念を具現化したものだろう。

 先日、大田市内で永代供養をテーマにした終活セミナーを聴講した。事情が許せば死後の選択肢は一つではない。故竹下登元首相の名文句「島根に生まれ、島根に育ち、やがて島根の土になる」ではないが、本当の土となって畑に貢献するのも悪くない。(衣)