出雲市内のスナックのママさんから聞いた話。「お客さんが10人いると3人は気が合う人、3人はどうしても合わない人がいる」。問題は「残りの4人にどう楽しんでもらうかがこの仕事なのよね」。それが商売繁盛の秘訣(ひけつ)らしい。
よく似た話を、再選を果たした首長からも聞いたことがあるので、選挙のセオリーに通じる案外よく知られた話なのかもしれない。ただ一見単純なこの算数も「残りの4割」をどう振り向かせるかとなると、超難問に早変わりする。
前回2024年の衆院選で島根1区の当選者が得た票は投票権がある人(有権者)の29%、2区は34%だった。いずれも3割の人を辛うじて振り向かせたといえる。投票率が58%台だったのでそれを加味した得票率は1区50%、2区は59%となり多少は見栄えがするのだが、「残りの4割」がどれだけ含まれていたかは怪しい。
「常に有権者の4割はボリュームゾーン(最多層)なので、この層を押さえれば勝てる」と唱える政治学者はいる。当てにならぬ浮動票と片付けられない。政治に期待はあっても投票先を迷っている大きな民意の塊と見た方が良いだろう。
今回の衆院選では「中道」の旗を掲げた新党がそこにくさびを打とうとした。解散で先手を打った与党側が失地回復を果たすのか、他の野党勢がどう絡むのか。ちょっとやそっとでは動かない「残りの4割」を巡る選挙は後半戦に入った。(裕)













