鳥取県南部町出身の孔版画家・板祐生(1889~1956年)の記念館、祐生出会いの館(南部町下中谷)で、昭和初期に結成し祐生も参加した版画作家らの年賀状交換会「榛(はん)の会」の作品展が開かれている。日本を代表する作家の個性豊かな年賀状など367点を展示し、訪れた人が興味深く見ている。20日まで。
榛の会は1934年に芸術家50人で結成し、56年まで22回行われた。重要無形文化財保持者(人間国宝)の稲垣稔次郎や、同県八頭郡船岡町(現・八頭町)出身で日本版画協会理事長を務めた橋本興家(おきいえ)をはじめとした名だたる作家が参加し、互いに批評して技術を高めた。
作品展では第1~7回の年賀状と、年ごとに作品を収めたアルバムの冊子や会誌を展示した。祐生は第2回から参加して強く感化されたといい、縁起物のタイと鳳凰(ほうおう)をデザインした第7回の作品は、切り抜き手法を取り入れて一流の版画家と肩を並べるまでになった。
中尾慶治郎副館長は「作家が心を込めた作品ばかり。個性的なデザインとともに、アルバムの装丁も楽しんでほしい」と話した。
午前9時~午後5時。火曜休館。入館料は一般300円、高校・大学生200円、中学生以下無料。
(中村和磨)