水しぶきを上げ、暗闇の中で猛然と突き進む。ゴール板をたたいた全盲のスイマー、高橋オリバー(54)は少し悔しそうに笑った。「いやあ、残念。これが今の実力かな」。昨年11月9日、滋賀県草津市で開かれたパラ競泳の日本選手権。男子100メートル自由形で目標タイムに6秒以上届かなかったが、悲愴(ひそう)感はない。不慮の事故で視力を失って約6年。絶望から再起し、泳ぐことに「生きる喜び」を感じている。

 2021年東京五輪に向け日本コカ・コーラで聖火リ...