熊本県天草市の御所浦島。1970年代初めの夏、当時は熊本大医学部の学生だった熊本大名誉教授の浴野成生(74)が、地元の子どもたちと岸壁で釣りをしていた。小学生だった古井清人(63)は「友達みたいな感じでしゃべっとった」と思い返す。今も島に住み、タイの養殖に携わる。

 浴野は「清人らが連れて行ってくれた所は本当によく釣れた」と楽しげに語る。それ以来、清人との付き合いは半世紀余りに及ぶ。裏表がないと信頼を寄せる。

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