鳥取県西部地震で倒壊した住家=2000年10月6日、境港市内
鳥取県西部地震で倒壊した住家=2000年10月6日、境港市内
鳥取県西部地震で倒壊した住家=2000年10月6日、境港市内

 10万人以上の死者・行方不明者を出した関東大震災から9月1日で100年を迎えた。山陰両県でも大地震は無縁ではなく、歴史を振り返ればマグニチュード(M)7級の地震が繰り返し起きている。鳥取県と島根県東部は地震の原因となる「ひずみ」がたまっているとされ、専門家は地震があることを前提に避難経路や連絡手段などの用意を求める。 (勝部浩文)

 政府は2016年7月、松江、鳥取両市を含む中国地方の北部区域で、46年までにM6・8以上の地震が起こる確率を40%と推計。浜田市や広島市、山口県を含む西部区域の14~20%、岡山市や広島県福山市を含む東部区域の2~3%と比べ、地震リスクが高い現状を明らかにした。

 地震は、地球表面を覆うプレートの活動で引き起こされる。北部区域は過去に地震が繰り返し起きている痕跡である「活断層」は少ないが、衛星利用測位システム(GPS)の観測で、同区域は最大年4ミリ程度、東方向に動いていることが分かっている。島根大総合理工学部の向吉秀樹准教授(構造地質学)は、山陰両県特有の地形などから活断層が存在していても見つけにくい点を指摘し「GPSの観測を考えれば、ひずみは年々蓄積している」と強調する。

 両県ではこれまでも大きな地震が幾度も起きている。2000年10月の鳥取県西部地震はM7・3を観測。最大6強の揺れを記録し、死者こそ出なかったが、両県を中心に住家計2万2千棟以上が損壊するなど被害は広範囲に及んだ。さらにさかのぼれば、1210人の死者・行方不明者を出した1943年の鳥取地震(M7・2)のほか、史料を基に880年に島根県東部でM7・0程度の地震があったことが分かっている。浜田市沿岸でも1872年に浜田地震(M7・0~7・2)が起きた。

 一方、太平洋側で百数十年周期で起き、近い将来の発生が予想される南海地震の前触れとして内陸地震が起きる可能性もある。実際、鳥取地震は1944年の昭和東南海地震(M7・9)の前年に起きている。

 向吉准教授は「地震が起きやすい地域に暮らしている認識を持つことが大切。年1回は家族で被災時の避難経路や連絡手段を確認してほしい」と呼びかける。