パレスチナ自治区ガザで続くイスラエル軍とイスラム組織ハマスとの戦闘は、イスラエル軍の苛烈な攻撃でガザ側死者が4万8千人以上に上るなど大惨事に至っている。一時停戦が続くものの、「ハマス壊滅」を目指すイスラエルは戦闘終結の構えは見せておらず、予断を許さない状況が続く。イスラエルが軍事力に依存し、国際的な孤立を深めてまでも攻撃の手を緩めない思想的な基盤はどこにあるのか。『ユダヤ人の歴史―古代の興亡から離散、ホロコースト、シオニズムまで』(中公新書)を2025年1月に出版した東京大の鶴見太郎准教授にイスラエルの建国の思想的な礎となったシオニズムについて聞いた。(共同通信外信部・前エルサレム支局長 平野雄吾)

 ―シオニズムとはどのような思想なのか。

 「ユダヤ人発祥の地とされるパレスチナに民族的拠点を打ち立てようとする思想で、19世紀後半に帝政ロシアのユダヤ人の間で始まりました。1880年代、帝政ロシア領内では「ポグロム」(ロシア語で「破滅」の意)と呼ばれる激しい...