岡田 友輔氏
岡田 友輔氏

 山陰中央新報社の石見政経懇話会と石西政経懇話会の定例会が25、26の両日、浜田、益田両市であった。野球のデータ分析を行うDELTA代表取締役の岡田友輔氏(50)が「データ活用が進む野球界~日米の比較と見どころ~」と題して講演した。要旨は以下の通り。

 球団が選手獲得のために行う投資には失敗もある。現代は数々のデータから選手の未来や価値を合理的に算出して獲得し、リスクを減らしている。

 データ分析は1970年代から進み、勝利の構造がかなり解明された。分析の第一人者である米国のビル・ジェイムズ氏は、チームの勝率と得失点の間に関係性があると突き止めた。「勝率=得点のn乗÷(得点のn乗+失点のn乗)」という数式を考案。出塁と長打が得点につながるとの考えを示し、米大リーグでは一般的となっている。日本の野球にもほぼ当てはまる。

 米国では20年ほど前から軍事技術などを応用し、打球の軌道や変化球の幅をチェックしている。打者で見ると、かつては打率3割超が優れた打者だったが、今は強い打球を20~35度の角度で飛ばす打者が評価されている。指導者は理解しやすく、選手も感覚をつかみやすい。これまで曖昧だった勝利への貢献が見えるようになった。

 日本球界は20代前半がパフォーマンスの質が上昇しやすく、20代後半で最も優れるのが分かる。近年、日本ハムが野手の平均年齢26~27歳とリーグで最も若く、フロントが意識して育成に取り組んでいる。

 データを重視しすぎると、選手の感性が埋もれると懸念する声もある。しかし、データがあることで勝ち方が見えてきて高度な知的ゲームになる。観客は選手のすごさを理解できるツールとして役に立つ。(宮廻裕樹)