米子空港(境港市佐斐神町)の香港便を週3往復運航する香港の中堅航空会社グレーターベイ航空が2日、9月から運休する方針を明らかにした。7月に日本で大災害が発生するという日本漫画の根拠のない「予言」をはじめ、香港で安価な中国ツアーが流行していることなどで、日本旅行の需要が低下したのが理由。運休後の再開の見通しは立っていない。訪日客が増えつつあった観光施設の関係者らは早期再開を願った。
同社の伊藤弘輝日本支社長が2日、オンラインで鳥取県の平井伸治知事と面談し、運休を報告した。伊藤支社長は、「予言」の時期が近づいた5月後半から6月にかけ影響が顕著になり、日本路線で「損益分岐点を下回る便が続出した」と説明。「状況が好転すれば、米子空港に戻ってまいりたいと切に願う」と話した。
平井知事は「驚いたが、やむを得ない」とし、「秋以降どうしていくのか。パイプは保ちたい」と関係の継続を強調した。
伊藤支社長は報道陣のオンライン取材に対し、再開の基準や判断について「香港の旅行会社から米子便の運航に向けた機運が高まる必要がある」との考えを示した。最終便の8月31日までは週3往復を維持する。
米子空港の香港便は2024年10月に就航。県によると、同月から25年3月までの冬ダイヤの平均搭乗率は61・9%だった。4月は58・7%、5月は43・3%と大幅に下がった。同社などによると6月は4割程度の見通しという。
香港の客が多数訪れる青山剛昌ふるさと館(鳥取県北栄町由良宿)の河崎積館長は「訪日客が徐々に戻りつつある中で、運休は残念。直行便があるのとないのとで全然違う」と話した。
米子市の皆生温泉旅館組合の細羽正理事は「香港の客は韓国などより多くはないが、旅館への影響はある。復活を待ちたい」とした。(岸本久瑠人、井上雅子)