雑然とした部屋にある化粧台には、ケースに収められたメークブラシが何十本と置かれていた。「目の下の涙袋は、こんな感じでいいかな」。ブラシを手にした山田はるか(39)が話しかける。鏡の前で笑みを浮かべたのは、山田によって「女性に変身」した男性だ。「かわいくなると、自分にスイッチが入る」

 ファンデーションを塗り、つけまつげを付けて、アイラインを整える。2時間ほどかけて、一連のメークを終えた。

 「女性の顔は繊細で、少しのメークで表情が大きく変わるけれど、男性だ...