直木賞を受賞した作家の窪美澄さんが「松江」という地名を初めて耳にしたのは19歳の時、小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)の生涯をテーマにNHKで1984年に放映されたドラマ『日本の面影』だった。深く脳裏に刻まれ、いつか小説に登場させたいと考えていたという。

 その望みは、大切な人の死を忘れられない男性と、恋の仕方を知らない女性の恋愛と人生を描いた小説『やめるときも、すこやかなるときも』(2017年出版)で実現。一昨年、松江にゆか...