厚生労働省は31日、2020年度に病気やけがの治療で全国の医療機関に支払われた概算の医療費が前年度から1兆4千億円(3・2%)減り、42兆2千億円だったと発表した。減少は高額薬の値下げが影響した16年度以来で、過去最大の減少幅。新型コロナウイルス感染を懸念して医療機関を受診する人が減ったことが背景にある。
近年の医療費は、高齢化や医療の高度化で増加傾向にある。20年度はコロナ患者受け入れのために不急の手術を控える医療機関が出たほか、手洗いや消毒をする人が増え、インフルエンザなどコロナ以外の感染症患者が減ったことも影響した。
外来の診療科別でみると、呼吸器系の病気による受診者が多い小児科が22・2%減、耳鼻咽喉科が19・7%減と大きく落ち込んだ。コロナ患者の医療費は電子レセプト(診療報酬明細書)で集計した参考値で1200億円程度と、全体を押し上げるほどではなかった。
都道府県別は、東京の4兆4889億円(4・8%減)、大阪の3兆2786億円(3・3%減)が多く、最少は鳥取の2084億円(2・0%減)。島根は2462億円(2・7%減)だった。診療種別では、入院が17兆円。その他、外来14兆2千億円、調剤7兆5千億円、歯科3兆円などだった。