被爆80年の2025年、直後の広島の惨状と被爆者たちのその後の壮絶な生を文学の言葉で刻んだ作家、大田洋子(1903~63年)に新たな光が当たった。
「大田洋子は核爆弾というものがいかに人類にとって残虐非道なものであるかということを繰り返し書いた。でも分かってもらえなくて、そのことに腹を立て、怒りまくっていた。怒る女は嫌われる。でも彼女の怒りは正しいと思う」
大田の文学に最も詳しいノンフィクション作家の江刺昭子(1942年~)がそう語る。大田の怒りとは何だったのか。(共同通信編集委員・田村文、敬称略)
▼女性の視点での読みなおしを
2025年7月、大田の代表作2作が収められた「屍の街・夕凪の街と人と」(岩波文庫)が出版され、江刺はその巻末に解説を書いた。1...












