アイドルグループ・NMB48が、23日に大阪・オリックス劇場で『NMB48 川上千尋卒業コンサート~アイドルちっひーのラストイニング~』を開催した。
【ライブ写真多数】野球色が濃く出た 川上千尋卒業コンサート
川上は、2012年12月に第4期オーディションに合格し、NMB48に加入。2022年9月にリリースした27枚目のシングル「好きだ虫」で初のシングル表題曲のセンターを務めたほか、「阪神タイガース」の大ファンでTORACO応援隊長を務めたり、「月刊タイガース」で連載を担当するなど、幅広く活躍。卒業コンサートも、タイトルから“野球”色が濃く出た内容となった。
野球場をイメージしたステージセットの中、阪神タイガースのマスコットキャラクター“トラッキー”がピッチャーを、バットを持って客席に登場した川上がバッターを務めて「始球式風セレモニー」でスタート。川上は「ありがとう、来てくれて!本当にうれしいです。卒業コンサートで始球式ができるだなんて、まさか皆さんも思ってなかったでしょう」と笑顔を見せました。そして、「川上千尋の卒業コンサート、スタート!」と元気よく呼びかけ、サイレンが鳴り、「Overture」が流れて本編がスタートした。
最初のフレーズを川上がアカペラで歌う「全部抱きしめろ」に始まり、「ウイニングボール」「初恋の行方とプレイボール」「チューストライク」と、序盤から“野球”をイメージさせる楽曲を連続で披露。サインボールをバットで打って客席に飛ばしたり、トロッコで客席を練り歩くなど、ファンサもたっぷり。キャプテンの塩月希依音が「ついに始まってしまいましたね」と川上に話しかけると、「始まったら一瞬」と少しさみしそうな表情を見せつつも「トラッキーが来てくれたんですよ。まさに夢がかないました」と一瞬でパッと笑顔に。そして「今日は卒業コンサートになりますが、全力で楽しんでいただけたらと思いますのでどんどん声出しちゃってくださーい!」とファンに呼びかけた。
ユニットコーナーは川上の思い出深い楽曲をセレクト。中盤の「ロマンティックなサヨナラ」では、この曲で川上とWセンターを務めた卒業生の内木志が登場し、二人で歌唱。後半、卒業生の石田優美(2期生)、加藤夕夏(3期生)、小嶋花梨(5期生)と上西怜(5期生)が登場し、「After rain」を5人で歌唱。川上は「今回、このメンバーは“レジェンド”として集めさせていただきました。私がガムシャラに頑張った時期、一緒に乗り越えてきた先輩メンバーたちということで」と伝えると、小嶋がすかさず「先輩メンバー!? 私はめっちゃ後輩です!」とツッコミを入れるが、川上の「グループとして見た時に」という補足に納得。4人から「最初の衣装もかわいかったよ」など、褒められると「泣いちゃう」とちょっと涙目に。その後、緊迫した殺陣のシーンからの「HA!」「高嶺の林檎」「海を渡れ!」とめまぐるしくさまざまな演出が展開し、「ウッホウッホホ」では、石塚朱莉、水田詩織、前田令子、河野奈々帆、出口結菜、岡本怜奈が登場し「W1N-C」が一夜限りの再集結!久しぶりに集まっても、相変わらずのわちゃわちゃ感に、川上は「いい意味で、涙引っ込んだ」と言って満面の笑顔を見せた。
終盤は、「僕以外の誰か」「まさかシンガポール」「好きだ虫」と、MVの中で“センターだけが持つことができるゴールデンマイク”を山本彩、白間美瑠、川上千尋と継承した3曲「僕以外の誰か」「まさかシンガポール」「好きだ虫」を続けて、センター川上でパフォーマンスし、本編が終了した。
アンコールでは、ゴールドに輝く卒業ドレスに着替えた川上が登場。「素敵なドレスを作っていただきました。卒業コンサートができるまで、たくさんのスタッフさんに協力していただいて、メンバーにも私のやりたい曲を覚えてもらって、たくさんの方の協力で今日を迎えることができています。そして、すべてのファンの皆さんのおかげで、今日このステージに立つことができています。本当にありがとうございます」と感謝の気持ちを伝え、「ここで少し私のお話をさせてください」と言って、思いのこもったメッセージを届けた。
【川上千尋メッセージ】
私は2012年12月23日にNMB48シアターで4期生としてデビューしました。なので、今日でちょうど13年になります。ありがとうございます。こんなに、13年もアイドルを続けられるとは正直思ってなかったです。
デビューした当時は、アイドルというものが理解できてなかった。握手会も写メ会も、何をしたらいいのか分からなくて。そういう時期が続いた結果、塩対応と言われ、そういう言葉を耳にした時に「アイドル向いてないのかな」って感じたりしてました。でも、その中で、私に、アイドルの川上千尋に期待してくださってる声や応援の声がちゃんと届いていて、その皆さんの声に応えたいと思った時に自分なりのアイドルの在り方を見つけられるようになりました。見つけてからは本気になることができました。
毎日が悔しくて、挫けそうな自分に「負けないぞ!」っていう気持ちで毎日必死にガムシャラに日々を走ってきました。そばで支えてくれる家族や応援してくれる友達、そしてどんな時も味方でいてくれるファンの皆さんの笑顔が見たいと思うと、目標や夢ができました。
でも目標に近づいた時が一番悔しかったです。選抜に入る一歩手前という時期や、選抜に入れてもなかなか上にいけなかった時期、そして選抜落ちしてどうしたらいいか分からなかった時期とか。そんな時期に、応援してくださってる方、支えてくださってる方に申し訳ないなと思いながら活動している自分がいることが一番悔しかったです。そんな時、頭によぎるのが“卒業”でした。当時、母に「もう辞めたい」と伝えたら、「あんた、そんな中途半端でええんか」って強く言ってくれたのを覚えています。それで冷静になって周りを見てみると、ライバルやファンの皆さんは前を向いていて、「一緒に頑張ろうよ」って声に出さなくても伝わってきたし、「また一緒に上を目指そうよ」ってファンの方が伝えてくれました。その時から“悔しい”は私の原動力になっています。
その気持ちを乗り越えると最高の景色が待っていました。そんな最高の景色を私はファンの皆さんとたくさん見ることができました。今日の卒業コンサートもその最高の景色の一つです。時間はかかったけど、13年の中でファンの皆さんと一緒に、アイドルとしての夢はすべて叶えられたなと思っています。本当にありがとうございます。幸せでした。自分の意思をちゃんと伝えられない子だった私を変えてくれたのは、努力することだったり、諦めないことを教えてくれたのは、皆さんでした。アイドル川上千尋を見つけてくれて、本当にありがとうございました。
ここから先、私は新たな一歩を踏み出します。アイドルの時代に経験させていただいたお芝居の道に進みます。これまでと変わらず、きっとたくさんの壁が待ってると思います。そんな時に、アイドルで学んだこと、挑戦し続ける熱い気持ちを忘れずに成長していきたいと思っています。これからも応援よろしくお願いします。
思いを伝え終えた後、「最後にまたここで挑戦させてください。私はソロ曲を持っていなかったので作ってきました。さっき話したような気持ちを込めて歌いたいと思います」と言って、川上が作詞したオリジナルソングの「あいことば」を披露。歌唱後、「一瞬だなぁっと思いますね。アイドルって儚(はかな)いってこのことかって思いました」と振り返り、ラストは「青春のラップタイム」でNMB48らしく、川上千尋らしく元気に楽しく締めくくった。
これで終幕と思われたが、「それではここから本日のヒーロー、NMB48川上千尋さんにインタビューします」というアナウンスが流れ、“ヒーローインタビュー”がスタート。今の率直な気持ちを聞かれると「今は、こんなに素晴らしい景色を手放してしまうのかとすごく惜しい気持ちですが、最高でした!」と元気に回答。ライブの中で印象的なシーンについては「デビュー当時に劇場公演で見させていただいたペンライトの景色。それが倍以上になって見られたこと。ファンの皆さんの一喜一憂した表情を見られたこと」と話し、ファンへのメッセージを求められると「これからも私と共に上を一緒に目指してくれたら嬉しいなと思います。NMB48と川上千尋の応援をよろしくお願いします」と伝えて、深くお辞儀をした後、「ラストイニング、行きます!」と言って黄色いサイン入りボールを客席に投入した。
そして、ここで卒業生・渋谷凪咲がサプライズで登場し、川上に花束贈呈が行われた。渋谷は笑顔で駆け寄り、川上と熱いハグ。二人ともうれし泣き状態の中、渋谷が「同期としてずっとずっと思ってたこと、言っていい?」と言って、「ちっひーは、ちっひーが思ってるより、みんなから愛されてて、かっこよくて、輝いてて。みんながそれを思ってるけど、誰よりもちっひーが、ちっひー自身が認めてないなって思ってて」と川上のすごさを強く訴えた。「ちっひーって本当にすごいですよね!」とファンに呼びかけると大きな拍手が鳴り響き、続けて渋谷が「誰よりもファンの方が一番思ってくれてると思うから、自分が自分を認めてあげて欲しいなと凪咲はずっと思ってました。本当にかっこよくて、同期として誇りです」と伝えると、「凪咲の言葉はいつも私に自信をくれます」と渋谷に感謝。「13年間お疲れ様でした」と、渋谷は最後の同期(4期生)となった川上を労った。
最後は、「六甲おろし」が流れる中、川上が会場内を一周し、「本当に幸せな13年間でした。私が13年間で一番うれしかった、夢に手が届いたと思ったのは、このゴールデンマイクをファンの皆さんと一緒に掴み取った「ナンバトル2」のイベントでのセンターでした。本当に奇跡のような瞬間を体験させていただいて、本当にありがとうございました。私にとってNMB48は人生です。NMB48が一番好きです。ファンの皆さん、支えてくれてる皆さんが一番好きです。では、今マイクを後輩に託したいと思います。ありがとうございます」と、金のマイクを置いて、見事に“ラストイニング”を締め括った。
川上は12月26日のNMB48劇場での卒業公演をもってグループを卒業する。
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