男子シングルス決勝を終え、健闘をたたえ合うカルロス・アルカラス選手(左)とノバク・ジョコビッチ選手=メルボルン(AP=共同)
男子シングルス決勝を終え、健闘をたたえ合うカルロス・アルカラス選手(左)とノバク・ジョコビッチ選手=メルボルン(AP=共同)

 冬季五輪の開幕や真冬の衆院選の投開票を前に熱い戦いが終わった。舞台は真夏の南半球。テニスの全豪オープンのトリを飾った、今月1日の男子シングルス決勝だ。

 史上最年少での四大大会全制覇に挑むスペインの22歳と、史上最多25度目の四大大会優勝を狙うセルビアの38歳。どちらが勝っても金字塔という一戦は前者が勝利。日の出の勢いが躍動感のあるプレーにも宿った。

 後者はかつての「ビッグ4」の一角で、錦織圭選手(松江市出身)の前にも立ちはだかったノバク・ジョコビッチ選手。今なお世界ランキング3位(2日現在)の実力者だ。テレビの前の感傷的な応援など何の役にも立たないと分かっていても、疲れや体調の悪さをこらえ、劣勢の中、流れをつかもう、空気を変えようとする姿に胸を打たれた。

 決着がついた第4セット終盤、渾身(こんしん)のフォアはネットにかかったが、これが決まればという場面をつくった。フルセットなら4、5時間に及ぶ長丁場。今できることをやって、好機をつかむ。ずっとそうやってきたんだ、と生きざまを見せられた気がした。

 耐えて、耐えて。大会直前に右肩痛のため欠場が決まった錦織選手もきっとそうだろう。元世界4位も36歳。コートの中だけではない戦いに、挑み続ける姿に改めてエールを送りたい。そして生かしたい。今できることをしっかりやる、と背中で示してくれるトップ選手たちの教えを。(吉)